【元考古学専門修士卒が教える考古学新刊紹介】高瀬克範著『続縄文文化の資源利用』 - 大学生の下剋上勉強法

【元考古学専門修士卒が教える考古学新刊紹介】高瀬克範著『続縄文文化の資源利用』

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はじめに

みなさんこんにちは、たいやきです。

今回は、考古学の新刊として、高瀬克範氏の『続縄文文化の資源利用』についてご紹介していきたいと思います。

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この本では、北海道の特徴的な文化、続縄文文化における多様な資源利用について、道具や動植物といった多様な観点から研究がおこなわれています。

興味がある方は、ぜひ読んでみてください。

続縄文文化って?

一般的に教科書で習いますが、日本列島の歴史では旧石器、縄文、弥生、古墳時代…という流れをたどってきました、

特に、約10000年以上も続いた縄文時代の後、本州では弥生時代へとはいり、水稲農耕を展開していました。

しかし、この水田稲作、実は青森県を北限として、津軽海峡を渡りませんでした。

なんと、北海道では縄文時代の後は、水田稲作をおこなわず、漁撈を中心とした生業を展開したのです。

この時代を、続縄文時代といいます。

なぜ続縄文というか、というと、その昔、「縄文学の父」といわれた山内清男博士によって命名されたのがきっかけです。

また、具体的な専門用語を用いると、この続縄文時代は前半と後半があり、前者は恵山文化、後者は後文化といわれています。

なお、このような文化が展開した、その背景については、これまでは主に環境によってコメを作ることが困難であったためという意見がみられましたが、近年では漁撈によってコメに頼らずとも生活を送ることができたためである可能性も指摘されています。

なお、この時代以降、北海道はオホーツクやトビニタイ、アイヌ文化と、本州とは異なった独自の文化の歴史を辿ることになります

別の記事では、そんな魅力的な北海道の歴史アイヌの歴史について学ぶことができるおすすめの本を紹介していますので、興味がある方はこちらをどうぞ。

前述のように、続縄文時代は漁撈経済に重きをおく社会であり、漁撈に用いる骨角器の製作が盛んにおこなわれました。

この優れた骨角製品が墓より副葬品として出土していることから、当時は階層分化が進んでいた可能性も指摘されています。

漁撈という活動が威信と結びついていたともいえるでしょう。

このように、本州が弥生時代となっていた同時期の北海道で展開していた、独自の文化が続縄文文化なのです。

『続縄文文化の資源利用』について

では、本書の目次についてみていきましょう。

第Ⅰ部 道具からみた資源利用

第1章 恵山文化における魚形石器の機能・用途

第2章 続縄文文化前期における磨製石斧の機能・用途

第3章 続縄文文化における有茎スクレイパーの機能・用途論的研究

第4章 続縄文文化における剥片石器の利用法

第Ⅱ部 資源利用の特徴

第5章 続縄文文化の資源・土地利用

第6章 弥生文化の北の隣人

第7章 レプリカ法による縄文晩期から弥生・続縄文期の土器圧痕の検討

第Ⅲ部 日本列島北部のなかの続縄文

第8章 「変動期東北北部」の歴史世界

第9章 北上川流域における続縄文系石器の使用痕分析

第10章 続縄文文化と縄文文化

第11章 北海道島における海洋資源の長期的利用

このように、第Ⅰ部では、様々な石器の多角的な検討から、当該文化における道具の様相を明らかにしています。

特に、石器の作り方のみならず、使用痕という痕跡からその利用法について研究されている点は、本書の特徴的な点として捉えることができます。

また、第Ⅱ部では、出土した動植物の検討に加えて、土器圧痕という痕跡学的研究からも資源そのものについて検討がなされています。

そして、第Ⅲ部では、このように道具の面や動植物資源の様相をふまえたうえで、時空間的に隣接する様々な文化との比較を試み、続縄文文化の特徴を明らかにしています。

空間的に見るならば、本州において同時期に展開していた弥生文化、そして時間的にみるならば、前代の縄文時代、そして後に出現する古墳時代との比較をおこなっています。

このような各時代との比較は、続縄文文化における社会の特性を、主に生業面から明らかにする有効的な方法であるといえます。

おわりに

みなさん、いかがでしたか?

本書は、道具や動植物資源の分析をもとに時空間的に隣接する諸文化との比較を通して、続縄文文化の特性を浮かび上がらせています。

このような続縄文文化を理解することは、縄文文化の理解、そして「北海道・北東北の縄文遺跡群」への理解をも深いものにするでしょう。

興味がある方はぜひ、読んでみてください。

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